世界最後の朝を君と

教室を出た私は、猛スピードで、階段を駆け下りる。　

タン、タン、と地を蹴るリズムの良い音が響く。

そして、二階の踊り場にさしかかった時だった。

向こうから、何やら聞き覚えのある声が聞こえてきた。

これはもしや…

嫌な予感ほど的中する。私は改めてそう感じた。

声の正体は、西ヶ崎紗和(にしがさきさより)だ。

西ヶ崎紗和、彼女は私のクラスの学級委員だ。

容姿端麗、運動神経抜群。更には困っている人を放っておけない優しい性格。絵に書いた様な完璧美少女だ。

…………表向きは。

私は彼女の本当の姿を知っている。

彼女にあだ名をつけるとしたら、「女王様」がぴったりだ。

それくらい、彼女の横暴ぶりは凄まじい。

それを身に持って実感したのは、一年前の出来事だった。