世界最後の朝を君と
TVが付くのと同時に、餅ネコのOP曲が流れ始める。

「良かった…間に合った…」

私はほっと胸を撫で下ろす。

静粛な部屋に場違いな陽気な音楽が流れる。

「…あの、餅ネコ知ってるんですね」

私は体育座りでTVを見つめたまま、彼女に問う。

「…まあ。面白いですし。可愛い絵柄の割には話とかしっかり作り込まれている所とか」
「分かります。『子供向けアニメ』だって思っている人の方が多いかもしれないけど、大人が観ても十分楽しめる内容ですよね」
「…いや、実際『子供向けアニメ』として作られたんだと思いますよ。17時台に放送するアニメなんて教育アニメか子供向けアニメくらいですよ」

随分と流暢に餅ネコについて話す女子生徒に、私は少し驚く。

「詳しいですね」
「……まあ、好きでしたから」

私が思わず振り返ると、女子生徒と目が合う。
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