その他
多谷昇太/著
- 作品番号
- 1551722
- 最終更新
- 2024/09/04
- 総文字数
- 43,952
- ページ数
- 61ページ
- ステータス
- 未完結
- PV数
- 640
- いいね数
- 1
女性の間で時代を超えて、いつまでも輝きを失わない文学作品と云えば「源氏物語」でしょう。作者は紫式部。生前その紫式部の生まれ変わりではないかと云われた作家が樋口一葉です。こちらも式部同様、女性の間で人気の高い作家だと思われますが、しかし単に女性のみならず、性別や世代までを超えて、我々日本人に広く愛され続ける作家だと云えましょう。彼女の作品がと云うよりは一葉自身が好かれているのだと思います。でもそれはいったいなぜだと思いますか?かくお尋ねする私自身が一葉の大ファンでして、実は自分でもわけのわからないその理由を模索するためにこの小説執筆を思い立ったのです。模索する上でいちばん手っ取り早い方法は一葉本人に会って、暫しの交誼をお願いするのがベストだと思いました。そこで、私は一葉をいっとき平成の御世(この4月で終りますがね)にワープさせて、その上で私と対談してもらうことを思い立ったのです。場所はなぜか大森、東京都大田区の大森です。実はその大森で、なかんずく区内の某公園でこの構想を思い立ったがゆえのことなのですが、その事と次第は小説内でサブ主人公の「私」自身に述べさせることにしましょう。さあ、では論より‘小説’、樋口一葉の真実(まこと)を知るべく、さっそくあなたも奇跡の現場へと赴いてください。大森の夜の公園へと、私がエスコートいたします…。
おっと、これでは筆足らずでした。一葉との現代における邂逅のあとで、実はこんどは私が明治の御世へと一葉を訪ねてまいります。やはり往時の彼女まで確認しませんとね。でも訪ねるとは云ってもある特殊な媒体(こう書くと当人たちに失礼なのですが)を通じてのことで、私自身が小説内に登場することは次の明治編ではありません。彼女の男の友人たちという媒体の中に私は潜り込もうと思っているのです。斉藤緑雨とか平田禿木とかの中にですね。
とにかく、こうした時代を跨いでの模索の末に彼女の実像というか、本懐を描き得ましたらば作家冥利に尽きるというものです。現紙幣になるような国民的作家というよりは、私始め我々日本人に愛され続けて止まない樋口一葉のその実体を、所以を、私は皆様の前でまつぶさにしてみたいのです…。
おっと、これでは筆足らずでした。一葉との現代における邂逅のあとで、実はこんどは私が明治の御世へと一葉を訪ねてまいります。やはり往時の彼女まで確認しませんとね。でも訪ねるとは云ってもある特殊な媒体(こう書くと当人たちに失礼なのですが)を通じてのことで、私自身が小説内に登場することは次の明治編ではありません。彼女の男の友人たちという媒体の中に私は潜り込もうと思っているのです。斉藤緑雨とか平田禿木とかの中にですね。
とにかく、こうした時代を跨いでの模索の末に彼女の実像というか、本懐を描き得ましたらば作家冥利に尽きるというものです。現紙幣になるような国民的作家というよりは、私始め我々日本人に愛され続けて止まない樋口一葉のその実体を、所以を、私は皆様の前でまつぶさにしてみたいのです…。
- あらすじ
- 平成の御世にあの樋口一葉が突然あらわれます。場所は大森の某公園。人もあろうに、なんとそこで現代のプータロー(?)さんと彼女は邂逅してしまうのです。このワープと出会いを介在したのは果して何だったのか、それは互いが抱く強い鬱屈?世への抗い?だったのでしょうか…わかりません。とにかく、ここでの赤裸なる、ひとときの「共有」を経て、次は明治の御世へと場が変わり行きます。どうぞ皆様もご一緒に…。
目次
-
第一章 まとの蛍
- 夜の公園では何かが起こる
- 私は55歳、車上生活者だ
- えっ!?大森駅!?
- あの…今は何年ですか?
- 五千円札であなたと知れます
- 私は車夫をしていました
- PS1「小説返歌」
- まあ、車夫を?それはお困りでしょう
- 彼女は周囲15、6メーターの結界にいる
- 私はどう書けばよかったのか?!
- お媟とも思うあなたが…止めて欲しい
- 私は世に抗いたい!
- 知事閣下夫人の座を蹴る
- お前は直次郎か?
- 霊視(チンピラ)ストーカーどもの実態
- PS2「小説返歌」
- 弱い私と強い一葉
- ‘お蝶の存在’は本物
- 父、正義氏の出現
- 邪魔者の出現
- ストーカーどもの出現
- あなたも文芸か和歌を…?
- 御足様の吉原の悪口を書きやがって
- 一葉と文学を語れること程嬉しいことはない
- 相聞歌を詠み合いましょう
- 一葉が私を‘男’として認めてくれた!!
- まとの蛍
- まさに一葉恋慕である
- 第二章 お春の一生
- 第三章 関東一文字清女
- 第四章 み山の奥
- 第五章 胡蝶の夢
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