学園の王子に気に入られたようですが、この関係って王子と侍女ですよね?-六花の恋ー【完】

響いた悲鳴に慌てて振り返る。

道に倒れた女性がいて、その前――こちら側へ――には、自転車に乗ったマスク野郎が突き進んでくるところだった。

――ひったくりか!

背負っていた竹刀を抜いて真横に構える。

少しは怪我するだろうけど、自転車をひっくり返して進路を止める。

突き進んでくる自転車野郎は上手くそれにひっかかった。

横に倒れたひったくり野郎。鞄は手放した。

それからトドメを――竹刀を持ちなおしたとき、急にひったくり野郎がぶっ飛んだ。

………え。

私の前にはいるのはひったくり野郎ではなくて、そいつを蹴り飛ばした女の子だった。

「大丈夫ですか⁉ カッコいいお姉さん!」

そう言って私を振り返ってきたその子は、雑誌やテレビの中にいても目を引くだろう美少女だった。

「あ、私はなにも……」

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