学園の王子に気に入られたようですが、この関係って王子と侍女ですよね?-六花の恋ー【完】
「失礼します。那也、また来るね」
私にそう言ってから由羽くんは一礼して教室をあとにした。
……感じる視線の数々。私、今日無事に帰れるかな……。
……案の定。
「那也―。おーい。帰ろうよー」
「……んー」
放課後になったときには、私は半ば屍と化していた。
千波に返事をして、机にほっぺたくっつけて長く息を吐く。
休み時間になれば由羽くんがやってきて、それは嬉しいんだけど同級生も集まって来て根掘り葉掘り訊かれて。
由羽くんはそういう話をすることに抵抗がないのか、欠片も照れることなく応じていた。
おかげで私だけが爆発しそうになっていたという。
「坂野、那也いる?」