学園の王子に気に入られたようですが、この関係って王子と侍女ですよね?-六花の恋ー【完】
「いや、なんでも。俺の方こそ、那也を嫌いになるとか、到底無理だから」
由羽くんが苦笑をもらした。
「帰ろうか」
「うん」
並んで歩き出して、由羽くんが私に歩調を合わせてくれているのに気づいた。
……なんだか気持ちがほわってする。
「あっ! 今朝のカッコいいお姉さん!」
ん?
聞き覚えのある声に顔をあげれば、朝出逢った美少女がこちらへ手を振っていた。
「あいつ――」
「あ、由羽くん、今朝のひったくり捕まえてくれたもう一人の人。って言っても――」
由羽くんがいきなり駆け出した。………え?
「またバカやったのかお前は!」
そしてバシッと美少女の頭をはたいた。………はい?