学園の王子に気に入られたようですが、この関係って王子と侍女ですよね?-六花の恋ー【完】
「……羽咲」
「お兄ちゃんのことよろしくお願いしますね! 那也お姉さん! 私、人待たせてるんでこれで!」
もう片手で顔を覆ってため息をつく由羽くんを華麗に無視して、終始笑顔だった羽咲さんは手を振りながら駆けて行った。
なんというか……パワーのある子だなあ……。
「ごめん那也、あいついつもマイペースで……」
「ううん。明るくて楽しい子だね」
「……ただのストーカーだけど」
「………」
それにはなんと返したらいいのかわからない……。
「まあ、でも。羽咲にしてはいいお節介だな」
「?」
「いつ言いだしていいか、わからなかったから」
と、軽く手を持ち上げられた。
あ……。