学園の王子に気に入られたようですが、この関係って王子と侍女ですよね?-六花の恋ー【完】
「あ、はい……お初にお目にかかります。遠江那也です。あと、友達の坂野千波です」
千波の背中を軽く叩くと、はっと意識を取り戻したように慌てて頭を下げた。
「は、はじめましてです! 坂野です!」
「はじめまして。司菜雪です。こっちは雪村景。那也ちゃんと千波ちゃん――でもいい?」
「ど、どうぞ……」
「私も菜雪でいいからね。千波ちゃんも。由羽が――」
「なゆ。なんでお前ばっか那也と話すの。那也の友達は俺」
なゆ、とは菜雪――ちゃんの愛称だろうか。
何故か平坦な瞳になる菜雪ちゃんと雪村くん。
「あーはいはい。ほんとお兄ちゃんそっくりだよ、由羽は。那也ちゃん、由羽がヘンなことしたらすぐに言ってね? 由羽ってアホなとこお兄ちゃんによく似てるから」
「あ、は、はい……?」