学園の王子に気に入られたようですが、この関係って王子と侍女ですよね?-六花の恋ー【完】
「ううん! うさ! つかさうさ! こうの「う」とさゆきの「さ」!」
あ、なるほど。二歳児の頭脳に感心していると、晃くんが大きく肯いた。
「いいな。「う」は由羽と揃えられるし、「さ」はさゆと同じ漢字つけられる」
「漢字まで決定した! えーと、羽に咲くで『羽咲』?」
字面可愛いな。
「羽咲、うーちゃんかな? お兄ちゃんがお名前つけてくれたよ~」
自分のお腹に手を当てて話しかける。
……羽咲には素敵なお兄ちゃんがいるよ。
「うさ! うさちゃん!」
自分の案が通った由羽は、ひたすらはしゃいでいる。
「父さんたちにも報告しないとだけど……」
「あ、だね」
晃くんを見上げると、何か言いにくそうな顔をしていた。うん?
「……今日だけ、三人だけでもいいか? 知ってるの」
「話すの、明日にするの?」
「なんか……やっぱりちょっと家族で浸りたいって言うか……」
口元に手の甲をあてて照れている晃くん。