学園の王子に気に入られたようですが、この関係って王子と侍女ですよね?-六花の恋ー【完】
「………」
家族。お父さんやお母さん、なゆや景も勿論家族、だけど。
「うん。今日だけ、三人だけのヒミツね」
再び、晃くんの肩に頭を寄せる。
「由羽、おじいちゃんとおばあちゃんとなゆには明日話すから、今日は話しちゃダメだよ?」
「おかーさん、おじいちゃんとおばあちゃんじゃなくて、こゆきさんとけいいちさん!」
「あはは、そうだったね。ごめんごめん」
なゆと景が同い年の叔父と叔母とか、由羽が理解しているわけじゃないことはわかる。
でも、お父さんやお母さんたちのことを、『おじいちゃん』『おばあちゃん』扱いするのを由羽は嫌がっている。
私や晃くんが、お互いの親を名前呼びのままでいるせいもあるかもしれないけど。
これが、由羽の持っている優しさのカタチなんだろうか。
「由羽、お兄ちゃんって呼んでもらう?」
「おにいちゃん! けいもおにいちゃんで、なゆはおねえちゃん!」
「ふふ、きょうだいたくさんだねえ」
「うん!」
顔いっぱいに笑顔を見せる由羽。
由羽を膝に乗せている晃くんはやっと照れが収まったのか、「由羽」と名前を呼んだ。