学園の王子に気に入られたようですが、この関係って王子と侍女ですよね?-六花の恋ー【完】
「あー……そういうことか。じゃあ今日は那也ちゃんと由羽を二人っきりにするね。私は景と一緒に帰るから」
「何故⁉」
「那也ちゃんと一緒に帰れるくらいのご褒美がないとあいつ拗ねるから?」
「は? え、なんでそうなるの?」
困る私の両肩を、菜雪ちゃんががしっと摑んで来た。
「ごめんね、那也ちゃん。これは雪村の血筋の業(ごう)なんだ……」
「スケール大きいな! て、由羽くんは雪村の血も引いてるんだ?」
「……あ、うん、そんな感じ、かな?」
私の両肩を摑んだまま、急に視線をうようよさせ出した菜雪ちゃん。
うん? 訊いちゃマズいことだったのかな?
「と、とにかく! これ受け取ってほしかったら、由羽と一緒に二人だけで帰って。お願いだから」
美少女に鬼気迫る迫力で言われて、私はおののきながら肯いた。
な、なんで私、こんなことになってるんだ……?