【短】私が「好き」だと言っても貴方はただ、曖昧に笑うだけなのでしょう?
いつも、こんなことの繰り返し。

最初は恋人だと…普通の恋人なんだと思ってた。


けれど…。

知ってしまった、彼の秘密。

いや、違う。


知らぬふりを、していただけだ。

白く切り取られた指輪の跡に、気付かぬふりをしていただけ……。

彼には立派な帰る場所がある。

温かな食事も、清潔で細部までピシリと糊のついたワイシャツやスーツ…そして毎日決まったように香る彼お気に入りのボディーソープも。

全て備わった、温かな場所が…。


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