【短】私が「好き」だと言っても貴方はただ、曖昧に笑うだけなのでしょう?
本当は、触れてはいけないものだと分かっていたのに。

それでも気付いてしまった、この想い。


あの日、あんな風に再会しなければ…良かったのに。


彼氏と別れて数週間が経って、漸く気持ちが落ち着いてきた時だった。

仕事終わりの繁華街。

行く所も特になく、フラフラと雑踏に流されていた私へと、後ろから不意に声を掛けてくる人がいた。


「志乃…?」

「え…?達矢?」


それは、高校時代…とは言っても、1年の末頃ほんの数ヶ月付き合った事のある元カレだった。


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