君の変わらぬ明日のために
そして臨月を迎えた。
大きなお腹を抱えた有璃紗が、仕事に出ようとする俺を見送る。
靴を履き、顔を上げた。
「行ってくる。何かあったら、すぐ連絡しろよ」
「わかってる。気をつけてね」
言い終わらないうちに、奥でピンポンと機械音が聞こえた。
「ああ、俺が出るよ」
玄関に置いてある印鑑を手に、扉を開けて外に出ると、表情の暗い、ヘルメットを被った男性が玄関前に立っていた。
隣にはバイクが置いてあるのを見て、配達員であることが見受けられる。
その者は俺の顔を見るなり、ピクリと肩を上げ、視線を逸らしながら近づいてきた。
「あの…どうかお達者で…」
差し出した封筒は白かった。
だが、嫌な予感がした俺は印鑑を押してすぐに、そのまま鞄の中に封を突っ込み、仕事へ向かった。