KYOKO
*        回想:哲郎のマンション(18年前)
  ユーミンの「魔法の鏡」がながれている。
  日射し、、、
  風にゆれるカーテン、、、
  窓枠に飾られた数々の写真立て。
  哲郎のスナップ写真、、、そして、鏡子との2ショット写真。
  中に一枚、縁が折り込まれて、
顔が見えない女性の腕に抱きかかえられている鏡子の顔写真。
  帯をたすき掛けにして1歳の鏡子を抱えてミルクを与えている哲郎。
哲郎「君はミルクをのんでいる時と寝ている時が本当に幸せそうだなぁ、、、」
  窓添いのベビーベッドに寝かせる哲郎。
哲郎「ここでおとなしくおやすみしててくれよな、、、
   きょうは1日お休みだったんだけど、、、ゴメン、
   やっておかないと明日会社で大変な事になりそうだから、
ちょっと仕事させてもらうよ。
   終わったら、相手してやるからな。」
  無邪気に笑う鏡子。
  デスクのパソコンにむかう哲郎。  
  鏡子が哲郎の仕事ぶりを見つめる。
  哲郎、無心にキーボードを打っている。
  鏡子、ベビーベッドの柵をよじ登ろうとする。
  鏡子の視線の先は窓に飾られた写真に向かう。
  キーボードを叩く音とユーミンの声だけが部屋の中に響く。
  ”ガタッ”
  振り返る哲郎。
  鏡子の姿が無い。
  窓のカーテンが揺れている。
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