KYOKO
  外が騒がしい。
  写真立てがひっくり返っている。
  近づくにつれて外が一層騒がしくなっていく。
  鏡子を背負う時に使う帯がベビーベッドの柵に引っ掛かって、
先端部が窓の外に出ている
外の声1「おお、、おおお、、、」
外の声2「警察にだれか連絡しろ、いや、消防署か、、、」
外の声3「なにかふとんとかクッションとかないのか、、、」
外の声4「あの部屋にいった方が早いんじゃないか、、、」
  哲郎、写真をどけて窓にのりだす。
  宙づりになっている鏡子。
  息を呑む哲郎。   
  遠くからサイレンが近づいてくる。
哲郎「、、、鏡子動くな。今、助けてやるから、、、」
  鏡子、無邪気に笑っている。
  哲郎、帯の引っ掛かっている部分を確認して、ゆっくりと引き上げていく。
  笑っている鏡子。
  窓枠に身を預けていた哲郎の身体のバランスが一瞬崩れる。
  同時に窓ガラスが階下に落ちていく。
  見物している人々が悲鳴をあげる。
  
< 25 / 52 >

この作品をシェア

pagetop