カップいっぱいの幸せ
そう冗談で言ったのに………

目を大きく見開いて、驚く咲ちゃん。

あれっ?

って思った時には…………ハラハラ涙が流れてた。

何??

どこに反応した??

女の涙は…………

この仕事をしていたら、結構目にする。

俺自身、清く正しい人生を送ってきた訳ではないから………

まぁ、泣かれたこともある。

………………けど。

今回は……俺のせい??

女とは違う女の子。

しかも、恋愛の縺れでもなく……………

正直戸惑う。

複雑な家庭環境の中、淋しい思いをしていたんだろうと想像したけど。

俺が思うより…………複雑??

取り合えず、目の前で泣く

まだ少女のようにあどけない彼女の涙を止めることにした。

って言っても…………どうやって?

女なら、キスの一つでもいいが…………

まさか、この子にする訳にはいかず…………

う~ん。

結局、ポンと頭を撫でるくらいしか出来なかった。

「どうする?
話しを聞いてもいい?
明日のことを考えると……………
明日の夜、ゆっくり聞くってことも出来るよ。」

「ごめんなさい。
大丈夫。
お兄ちゃんって言われて、昔を思い出しただけだから。
マスターをやめて………………
『圭兄』でいいですか?」

すっかりいつもの彼女に戻り

気にはなったものの、今は聞くのを止める。

それより、名乗ってなかったよな?

俺の名前を知ってることに驚いていると。

「笹さんに教えてもらって…………。
あっ、そう言えば…………お気を使わせてごめんなさい。
笹さんのこと…………もう大丈夫です。
名前を聞いて、フラッシュバックしただけで…………
妹とは全く違うから………平気です。」

「そりゃそうだよね。
性別からして違うんだから。
分かった。
どうせ、明日から一緒に帰ると……嫌でも合うしね。
ヨシ!
遅くなったから、早く食べて寝よう。」
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