クールな御曹司と愛され新妻契約
「でしたら、次はもっと俺に溺れた顔を見せてもらえませんか? 俺があなたを傷付けていないと確信できるような……強引に抱いてしまえるような、とろとろになったあなたが見たい」

「で、でも……そんな顔を見せたら……嫌いになったり、しませんか? 自意識過剰な女だって、思ったりとか……その……っ」

「嫌いになったりしません。絶対に。麗さんは、もっと俺のことを信頼すべきだ」

あなたにそう思わせられない自分のことが悔しいです。
そう言って、千景さんは優しく私の頬を撫でると、ベッドの上で横になり私を強く抱き寄せる。

「次は逃がさないので、覚悟しておいてくださいね」

「……は、い」

この瞬間。八年前から染み付いた心の傷は、いつの間にか……千景さんによって既に癒されていたのだと、ようやく知覚した。

千景さんの心の傷は、癒えたのだろうか?
彼のぬくもりに密やかに溺れながら、私は愛しい人の心が救われますようにと祈りを捧げる。

「おやすみ」
「おやすみ、なさい」

淡い愛の期待が揺らめく部屋の中、余韻に浸りながら、私は静かに目を閉じた。




――千景さんと、本物の夫婦になれたら……いいのに。

そう願わずにはいられない。

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