クールな御曹司と愛され新妻契約
「そんなことっ」

ないです、というのも失礼にあたると困惑しながらオロオロしていると、伊能さんはクスクスと優雅な微笑みを浮かべた。

「残念。僕じゃなくて花に、かな? 確かに、今回の柳緑花紅というコンセプトはとってもやり甲斐があったよ。イングリッシュガーデン風に生けるというのも、こういう機会でもないとなかなか楽しめない」

ありがとう千景。
伊能さんは何故だか私の頭を撫でながら、嬉しそうに千景さんへ笑いかけた。



千景さんの学生時代のお話を聞けるという貴重な機会が終わった頃。

貫禄のある年配の白人男性からまるで旧知の仲のように英語で声をかけられた千景さんは、笑顔で握手に応じ、美しい英語で流暢に話し出した。

欧米人らしい年配の男性は、新商品を片手に何やら熱く語っている。

二人の間で交わされる流れるような英語は、私にとっては早口過ぎて、多分新商品について語っている? くらいしか理解できず、ニコニコしているのが精一杯だった。
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