クールな御曹司と愛され新妻契約
そのように先輩方から厳しく指導を受けながら毎日努力した甲斐あって、今では的確に掃除道具を操ることができるようになり、衣服やエプロンに汚れが付着するなんてことはなくなった。

なので、初めてのデートにスーツやブラウスが汚れいるなんて大失態をすることもない。


普段通りにしていれば、私の抱く密かな恋心が外見から彼にバレてしまうことなど、ありえないだろう。
なにせもう二年近く秘密にしてきたのだ。
とにかく今夜は……長年築き上げてきた信頼関係が崩れないよう、願うばかりである。


それにしても、男性とデートなんて生まれて初めての経験だったので、どんな話をしたらいいのかわからない。
趣味はなんですか? 休日は何をしますか? なんていう話題だろうか。

……ううん、それも大事だけど、私の父の怒りポイントや母の性格などを話す方が週末に向けて現実的かも?

両親が望む結婚観というのだろうか、彼らはそれを満たす相手が欲しいわけだから、私と冷泉様がそこに上手くフィットさせなくちゃならないわけだし……。

となると、これは〝初めてのデート〟というよりいかに契約結婚を円滑に行うかの〝作戦会議〟に近そうだ。
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