クールな御曹司と愛され新妻契約
「いらっしゃいませ。本日はどのようなものをお探しでしょうか?」

「彼女に似合う服と靴を用意してもらえますか。今夜、すぐに着ていきたいので」

「はい、かしこまりました。少々お待ちくださいませ」

スーツをきっちり身に纏った女性店員が、すぐさまフロアを歩き回っていくつかのワンピースやカクテルドレスを手に戻って来た。
その中から千景さんが、「じゃあこちらを」とAラインのワンピースドレスを選ぶ。

そして私は目を白黒させている間に、女性店員に「こちらでお着替えくださいね」とフィッティングルームに案内され、恭しく扉を閉められた。

え……えええ!?

目まぐるしい現状に頭が追いつかないまま、ワンピースドレスを手にフィッティングルーム内で鏡に映った自分の驚愕顔と洋服を交互に見つめる。

手渡されたAラインワンピースドレスは、清楚なピンク色のジャガード生地には同系色を用いた繊細な花柄の刺繍が施してあり、絞られたウエスト部分から膝丈まで広がるスカート部分は、生地のハリ感が生かされたひだが可憐な印象を引き立てている。

す、すぐに着ていくと話していたし、これに着替えなきゃダメ、だよね?
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