クールな御曹司と愛され新妻契約
……だが、転居届を提出すれば住所が千景さんと同じだなんてことはすぐにバレてしまうので、当分はこのままだろう。

千景さんから『ここの家賃は契約結婚上必要な費用として俺が支払います』と言われたものの、そこまで甘えることはできないので、しっかりお断りさせていただいた。

だって、千景さんはこれからの生活費を全て負担してくれる上に、彼の家のハウスキーピングには私個人に特別手当を支給すると主張しているのだ。
それも、会社からもらう一ヶ月分の給料に等しいほどの額で。

その上マンションまで維持してくれるなんて、契約妻という立場から言えば流石にあり得ない。

むしろ特別手当はもっと減額してください! と私も負けじと主張したのだが、千景さんも全く折れてくれる様子がなく、結局話し合いの末、減額は無し。

うちの家賃は、個人的にいただくお給料から支払わせてそもらうことになった。
……これでは、もうほとんど千景さんに甘えているようなものである。

スーツケースに必要そうな私物を詰めながら作業をしていると、スマホが震えてメッセージの受信を告げる。
< 57 / 192 >

この作品をシェア

pagetop