クールな御曹司と愛され新妻契約
もう、本当に勘弁してほしい。
私の人生に一切関わらないで! と彼を糾弾し強く拒絶したい気持ちに苛まれながら、きゅっと唇を噛み締める。

……とにかく連絡を返さないと。

話が拗れたら大変だし、トラウマの元凶と言えど…… 見方を変えれば一応、親切に助け舟を出してくれようとした人には変わりないのかもしれない。

私は渋々【お久しぶりです】と書き出し、謝罪と御礼のメッセージを打ち込む。

それから【両親には話していませんでしたが、長い間お付き合いしている方がいます。その方と婚約中です】と事情を説明し、両親にも挨拶へ行く予定だということを伝えた。

【明日もお会いすることはできません。直接お礼や謝罪ができず、大変申し訳ありません】

クマのキャラクターがお辞儀しているスタンプを添えて終了すると、すぐに既読が付き【了解】と返信があった。

「よ、良かった……」

なんとか、こちらの気持ちは理解してくれたみたいだ。

内容の割に妙にあっさりした返信に、本当にこれで引き下がってくれるのだろうか? と頭の片隅では訝しんでしまったが、彼も大人になったということなのだろう。
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