ストーカー
少しずつ体勢をずらして、鏡の中の個室を確認した。


その時だった。


ドアが開いたままの個室の1つに誰かが座っているのが見えて、悲鳴を上げそうになってしまった。


必死で声を飲み込んで、目をこらして確認する。


ドアを開けっぱなしにして個室に入っているのは、ハイヒールを履いた女性だった。


酔っぱらっているのか、ちゃんと服を着たまま便器に座ってうたた寝をしている。


「なんだ、ビックリした……」


ホッと息を吐きだして、あたしはトイレを出たのだった。
< 103 / 244 >

この作品をシェア

pagetop