ストーカー
心の中でそう言い、視線を璃桜へと戻した。


その時だった。


カシャカシャカシャ。


連続して聞こえてきたシャッター音にあたしは思わず立ち上がっていた。


どこから!?


そう思って周囲を見回してみるけれど、カメラを持った生徒はどこにもいない。


朝と同じ、いつもの風景が広がっているばかりだ。


鼓動は一気に早くなり、運動をしているわけじゃないのに呼吸が乱れて来る。


言い知れぬ不安が胸いっぱいに広がって行った。


「どこにいるの……」


小さな声で呟いて、グラウンドの様子を見つめる。


これだけ生徒たちがいるのだから、部外者が侵入してきていればすぐに気が付くはずだ。


ということは、音の正体は学校関係者……?


一瞬、サッカー部のファンの子と視線がぶつかった。


あたしを睨み付けているように見えて、ビクリと身を震わせる。


あたし1人だけベンチに座らせてもらっているから、怨まれているのかもしれない。
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