ストーカー
☆☆☆

1人で家に帰るのなんてどうってことない。


今までずっとそうしてきたし、みんなも当たり前にやっている。


なのにどうしてこんなに足が重たくなるんだろう。


学校の校門を出ると同時に、あたしは立ち止まってしまっていた。


学校内にいれば、なにかがあっても誰か助けてくれる。


でも、一歩外へ出るとそういうワケにはいかなかった。


あたしは恐怖心を押し込めるため、鞄の中から防犯ブザーを取り出し、首から下げた。


「大丈夫大丈夫。まだ明るい時間だし、みんなもいるし」


周囲には同じ制服を着た生徒が歩いている。


その流れに乗ればいいだけだ。


自分にそう言い聞かせて、あたしは足を進めたのだった。
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