ストーカー
玄関に写真がばらまかれていることはなく、ひとまず胸をなで下ろした。


しかし、ポストになにか入れられている。


折りたたまれた紙を抜き取って確認してみると、それは荷物の不在連絡票だった。


「あ、そういえば本を注文したんだっけ」


数日前好きな本をネットで注文したのだ。


本を読んでいれば少しは気分が紛れると思って……。


「なんだ、ちゃんと出ればよかった」


そう呟き、怯え過ぎていた自分に笑った。


宅配業者が来たのはついさっきだし、今ならまだ外にいるかもしれない。


そう思って玄関を開けようとしたが、やっぱりためらわれた。


外に出るのは危険かもしれない。


面倒だけど、不在連絡票の番号に電話する他ない。
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