ストーカー
☆☆☆

6時間目の授業が始まる時間、あたしは1人で学校を出ていた。


先生に頼んで教室に鞄を取って来てもらい、そのまま早退したのだ。


日菜も美咲も璃桜も、きっと心配してくれるだろう。


だけどみんなに声はかけなかった。


今は1人になりたい。


歩いているとまた涙が出そうになって、あたしは必死に足を前に進めた。


前方を睨み付けるようにして涙をこらえる。


思いっきり泣くのは、家に帰ってからでいい。


大股で歩いていると派手な髪色の男性が声をかけてきた。


「君高校生? 学校は? 暇なら遊ぼうよ」


こんなこと日常茶飯事だ。


あたしは男に見向きもせずに歩き続ける。
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