ストーカー
☆☆☆

大股で家の近くまで戻ってきた時、どこからかあの視線を感じて立ち止まった。


まただ……。


体中から怒りと憎しみが込み上げてくる。


あたしは周囲を見回し、電柱の後ろを覗き込み、異常がないのを確認した。


一旦息を吐きだす。


でもまだ油断はできなかった。


犯人はいつだってこちらからは見えない場所にいるんだから。


どこにいるかわからないから、玄関を開けた時に一緒に入って来られる可能性もある。


あたしは警戒したままゆっくりと隣の家へと近づいた。


自分の家には戻らず、日中人がいる家にかくまってもらうのだ。


そうすれば安全だから。


しかし、足を進める度に視線は強くなって来る気がする。


「どこにいるの!? 出て来なさいよ!」
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