ストーカー
「見たくない……」


「何言ってんだよ。こんな重たい袋をわざわざ移動させてきたんだぞ」


「嫌……見たくない!」


体をゆすり、ガタガタと音を立てて抵抗する。


その瞬間、西村君が左手であたしの髪を鷲掴みにしてきた。


痛みで顔が歪んでいく。


「ここ、防音室なんだ。どれだけ騒いでも大丈夫だけどさ、ちょっと大人しくしてくれよ」


『防音室』


その言葉にほんの少しの希望が消えた。


「嘘……」


「自分の立場、わかった?」


西村君があたしを見下ろしてニタリと笑う。


そんな、そんな……!!

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