ストーカー
髪の毛を離されても、絶望で言葉がでなかった。


ただその場でうなだれ、涙を流すことしかできない。


西村君はそんなあたしを横目に、ゴミ袋の1つを開封した。


途端に異臭がキツクなる。


「遙ちゃんの言ってる西村君は、こっち」


そう言い、西村君はゴミ袋に片手を突っ込みソレ、を取り出した。


西村君と同じ顔をした男の人。


しかし首から下はなく、途中で切断されていた。


持ち上げられた生首からはボトボトと血が流れ出し、顔は真っ白に染まっている。


白目をむいて飛び出さんばかりに剥きだされた眼球。


死ぬ前に拷問を受けたのか、頬のあちこちに切り傷があり、両耳はそぎ落とされている。


「これ、双子の弟」


西村君はそう言って、生首の頬を舐め上げた。


あぁ……。


なんでこんなことになったんだろう。


込み上げて来る吐き気。
< 174 / 244 >

この作品をシェア

pagetop