ストーカー
西村君と同じことになれば、あたしも死にたくなるだろう。


だけど、なにもかもあたしには関係のないことだった。


「そんなときでも、遙ちゃんのことは忘れられなかった」


その言葉にあたしは顔を上げた。


涙で視界が滲んでいるけれど、西村君が満足そうにほほ笑んでいるのはわかった。


「絆創膏をくれた時、なんて可愛くて優しい子だろうって思ってた。それから、ずっと好きだった」


西村君は、あたしの周りをゆっくりと歩いてそう言った。


「だけど、自分から近づく事はできなかったんだ。ほら、義手だとちょっと怖いだろ? 今も震えてるしさ」


そんなことない。


西村君が怖いのは義手せいじゃない。


だけど、そんなことは言えなかった。
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