ストーカー
「あいつは俺の奴隷だからだよ」


「奴隷……?」


「あぁ。俺が交通事故に遭ったのはあいつのせいだから」


あたしは黙って西村君の言葉を待った。


「あの日俺はいつも通り学校へ向かった。○○高校は遙ちゃんも知ってる通りヤンチャなヤツが多いからさ、1年生はあんまり目立っちゃダメなんだよ。それを、弟は破った。ちょっと喧嘩に自信があるからって、2年生に食って掛かったんだ」


その時のことを思い出したのか、西村君は呆れた声色になった。


「その時に同じ顔の俺まで巻き込まれた。5人くらいいたかなぁ? 勝てるワケないだろ? 謝って許してもらおうとしたけれど、それもダメだった。先輩は金を要求してきたんだ。弟を人質に取られたら、なんでもいいから金を用意するしかないだろ?」


そう言い、大きく息を吐きだす西村君。


「一旦家に戻って親の金をくすねて来ようと思った時だよ、俺が事故に遭ったのは」


それから先、弟は西村君に抵抗できなくなったのだろう。
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