ストーカー
一瞬にして言葉が出て来なくなる。


『遙? 聞こえてるか? もしもし?』


璃桜の声を聞きながら、あたしは狂気の笑みをたたえる西村君を見ていた。


「……聞こえてる。すぐ帰るから……大丈夫……」


『本当か? 今どこだよ? 迎えに行くから!』


璃桜の必死な声を聞くと、なにもできない自分が情けなく感じられた。


ごめん。


ごめんね璃桜。


「来なくていい!」


あたしは大きく息を吸い込んで、そう言った。


『遙?』


「璃桜のことなんて全然好きじゃなかったんだよね。もう飽きちゃったし、別れようと思って連絡しただけ」


あたしは早口でそう言った。
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