ストーカー
☆☆☆

精神科に分類される病院には沢山の人がいた。


スーツ姿のサラリーマンや、小学生くらいの子供まで様々だ。


待合室には子供の遊び場もある。


暗いイメージを払しょくするような明るい笑い声も聞こえてきて、内心驚いた。


明るい日差しが差し込む診察室で、若い女性の先生が対応してくれた。


「心的外傷後ストレス障害。PTSDです」


そう診断を下された時、隣にいたお母さんは泣いていた。


「あたしは病気なんですか?」


そう質問をすると、先生は笑顔で「大丈夫。あなたはとても強いからまだ生きているの」と、言った。


強いから生きてる?


弱かったらもう死んでるってこと?


昨日聞こえて来た声を思い出す。


死んだ方がよかったんじゃない?


そんな、自殺を誘発するような声だった。
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