ストーカー
通常、プレイが終るまでの時間は5時間とされているけれど、色々なルートを辿ってレアキャラと出会ったり、レアアイテムを手に入れたりするため、そんな簡単に終わることはできない。


1度クリアしても、何度も何度もプレイして楽しむのだ。


「あのね、今度のゲームはね……」


あたしがゲームの話をしようとしたとき、


「あ、でもゲームの話しはしなくていいからね? 長くなるから」


と、美咲にビシッと言われてしまい、口をつぐんだ。


ふくれっ面をして美咲を見つめるけど美咲は「ダメ」と、容赦なく言った。


実際にゲームの話が長くなってしまう自覚もあったため、これ以上はなにも言えない。


それから先は他愛のない会話をして歩いていたのだけれど……カシャカシャカシャ。


その音にハッと息を飲んで振り向いた。


まただ……。


最近、どこからかシャッター音が聞こえてくることがある。


振り向いても誰もいないし、友達に相談しても気のせいだと言われるけれど、こう頻繁に聞こえてきていたら、気味が悪くて仕方なかった。


あたしは無意識の内に足を止め、注意を確認していた。


警戒心をむき出しにして物陰を見つめる。


今にも見知らぬ誰かが飛び出して、あたしを刺し殺すんじゃないか?


そんな見えない恐怖が全身を包み込んでいく。


「また立ち止まってどうしたの?」


日菜の呆れた声が聞こえて来て、ハッと我に返った。
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