ストーカー
あたしは自分の背中に冷や汗が流れて行くのを感じた。


下手なことを言えば、なにをされるか……。


「遙ちゃんの友達?」


西村君はあたしへ向けてそう言い、ニッコリとほほ笑んだ。


とても爽やかで好青年のような笑顔だ。


「う、うん……」


「へぇ。じゃあ、俺のことをちゃんと紹介してよ」


『ちゃんと』という所を強調された気がして、あたしは唾を飲み込んだ。


下手な事は言えない。


2人に助けを求める事なんて、論外だ。


あたしはスッと息を吸い込んで日菜と美咲を見た。


「あたしの彼氏の、西村君」


そう言った瞬間、西村君が笑うのが目の端でわかった。
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