ストーカー
☆☆☆

外で会う西村君はまるで別人のようだった。


優しくて、カッコよくて、とても爽やかにほほ笑む。


だけどそれはあたしの為じゃない。


周りの人間たちを惑わせるためだと、すぐにわかった。


「家まで送って行くよ」


ファミレスを出てそう言われたので、あたしは思わず「いらない」と、返事をしていた。


返事をしてしまった瞬間、青ざめる。


「遠慮すんなって。お前の家の場所なんて、とっくの前にわかってるんだぞ」


耳元でそう言われると、もう拒否なんてできなかった。


できるだけ離れて歩きたいと思っても、それも許されず手を繋いで歩いた。


手から伝わって来る体温が気持ち悪くて、何度も吐きそうになる。


それでも、離れることができなかった。
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