ストーカー
「ここでいい」


家の近くまで来て、あたしはようやくそう言い手を離した。


全身汗ビッショリだ。


動悸がして呼吸もうまくできない。


こんな状態のあたしと一緒にいて、西村君は楽しいのだろうか。


「あ」


西村君が何かを見て小さな声でそう言った。


視線を向けると、家からお母さんが出て来たところだった。


「お母さん!」


駆け出しそうになるのをグッと我慢する。


「遙。どこに行ってたの!」


そう言いながらこちらへ駆け寄って来るお母さん。


西村君と2人きりじゃないことに、ひとまず安堵した。
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