ストーカー
「事情ってなに? あたしたちや璃桜に散々心配かけといて、新しい彼氏作ったことに理由なんてあるの?」


「それは……」


反論もできなかった。


心臓が重たい空気に押しつぶされてしまいそうだ。


「遙!?」


懐かしい声に振り返ると、璃桜が教室に入ってきたところだった。


「璃桜……!」


思わず駆け出してしまいそうになり、自分の気持ちをグッと押し殺した。


璃桜から視線を外し、俯く。


「メッセージの返事もないし、電話も出ないし、心配したんだぞ」


そう言って璃桜があたしの手を握りしめて来た。


久しぶりに感じる璃桜の温もりに、涙が込み上げて来そうになる。


けれど、その手を握りし返すことはできなかった。
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