ストーカー
「家に帰ったら、仲直りしなきゃね」


お母さんはそう言い、あたしにウサギの形に向いたリンゴを差し出してくれた。


ひと口食べると、甘くておいしい果汁が口いっぱいに広がった。


甘い物を食べると、人は優しい気持ちになれるから不思議だった。


「うん」


「お母さん、ちょっと洗い物してくるね」


お母さんはそう言い、果物ナイフを片手に病室を出た。


あたしはベッドに横になり、ホッと息を抱きだす。


目を閉じてみるととても穏やかな気分になれた。


最近はゆっくり眠る事もできていなかったから、すぐに眠気が襲ってくる。


少し眠ろう。


そう思い、あたしは目を閉じたのだった。
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