ストーカー
「遙ちゃんが悪い子だからだよ」


その声が聞こえたのは、あたしの後方からだった。


こちらへ近づいてくる気配がする。


「もうやめて……!」


「どうして? 俺はこんなに遙ちゃんのことが好きなのに」


「こんなの普通じゃない!」


そう言った時、西村君があたしの前に移動してきた。


その手に握られているノコギリを見て、あたしは息を飲んだ。


「普通かどうかなんて問題じゃない。遙ちゃんが俺の物になるかどうかが、問題なんだ」


西村君が動く度、ノコギリの刃がギラギラと光った。


「なにをする気……?」


「もう二度と逃げられないよう、遙ちゃんには足を失ってもらおうと思ってね」


西村君はそう言い、ノコギリの刃を舐めた。
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