ストーカー
☆☆☆

璃桜を練習場の近くまで送って帰る時、周囲はまだ明るかった。


お腹も一杯だし、予定外に璃桜と会う事もできたし、今日のあたしはご機嫌だ。


鼻歌まじりに家の近くまで戻って来たときだった。


不意に視線を感じてあたしは立ち止まっていた。


鼻歌も自然と消えていく。


「なに……?」



周囲に人の姿はないのに、すぐ近くで見られているような感覚がある。


聞こえて来るのは遠くの車の音ばかりで、あのシャッター音も聞こえてこない。


それなのに……。


ジャリッとコンクリの上の砂利を踏む音が聞こえてきて、あたしは視線を向けた。


そこには電信柱が立っている。


ジッと目を凝らしてみると、電信柱の横から人影が見えていることに気が付いた。


「ひっ」


悲鳴を上げ、家の玄関へと駆け込んだ。
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