ストーカー
運動のことはよくわからないけれど、なんとなく頷いた。


「あれから変なことは特になし?」


璃桜にそう聞かれて、あたしは人影のことを思い出していた。


「実はね、合コンに行った日に電柱の陰に人影を見た気がしたの」


あたしの言葉に璃桜はボールを蹴るのをやめ、真剣な表情を浮かべた。


「人影?」


「うん。勘違いかもしれないけど……」


その時のことを思い出すと、未だに寒気がした。


「もしかして、合コンにいた男の誰かとか?」


「……わかんない。本当に人がいたのかどうかもわからないし」


あたしはそう言って左右に首をふった。


美咲の紹介してくれた人たちを悪く言いたくはなかったけれど、合コンに参加した当日に人影を見たのだ。


どうしても疑ってしまう。
< 35 / 244 >

この作品をシェア

pagetop