ストーカー
邪魔者
璃桜の時間を全部もらうワケにはいかない。


けれど、やっぱり1人で家まで帰るのは勇気が必要だった。


「遙どうしたの? 帰らないの?」


日菜にそう声をかけられて、あたしは曖昧な表情を浮かべてしまった。


日菜や美咲が同じ方向に帰るならよかったのに……。


「今日も、璃桜を待ってから帰るよ」


同じ方角に帰る友人がいないのだから、仕方がなかった。


「そっか。じゃあ先に帰るね」


バイバイと手を振って日菜と美咲を見送る。


窓の外からはサッカー部のウォーミングアップの声が聞こえて来る。


「あたしも早く行こ」


そう呟き、鞄を持って教室を出たのだった。

< 52 / 244 >

この作品をシェア

pagetop