ストーカー
「あ、ごめんなさい」


ベンチなら他にも開いているのに……と思いながら、腰をあげる。


女子マネージャーたちはあたしが座っていたベンチに、水筒やタオルなどを乱雑に置き始めた。


もしかして、敵意を抱かれてる……?


サッカー部は女子に人気があるし、部外者が間近で見学をしていると面白くないのだろう。


あたしはベンチからそっと離れた。


ここからでも練習の様子はちゃんと見れるし、邪魔にならない。


「ねぇ、いつまでそこにいるつもり?」


マネージャーの1人にそう声をかけられてあたしは言葉に詰まってしまった。


部活が終るまで。


なんて言って大丈夫だろうか……。


「璃桜の彼女なんでしょ? それなのに手伝いもしないで見てるだけ?」


「えっと……それは……」


彼女の言う通りだ。
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