ストーカー
あたしは璃桜の彼女なのに、サポートすらしていない。


サッカーについては璃桜の方が詳しいし、口出しする気もなかったから。


「何してんのお前ら」


そんな声が聞こえてきて視線を向けると、いつの間にか璃桜がすぐ近くに立っていた。


マネージャーの3人は笑顔を浮かべて「そこにいると危ないって教えてあげたの」なんて言っている。


「別に、ここは危なくないだろ」


璃桜は、マネージャーの言葉をすぐに信用する気はないようだ。


確かに。


だって、あたしは毎日ここに座って見学していたのだから。


「璃桜! 試合始めるぞ!」


コートの中から郁がそう声をかけ、璃桜は走って戻って行ったのだった。

< 55 / 244 >

この作品をシェア

pagetop