ストーカー
その時の男子生徒の顔が、今前の前にいる生徒の顔と一致した。


「えっと……名前……」


あの時名前を聞いていなかったことを思い出した。


「西村だよ。あの時は絆創膏をありがとう」


「西村君ね。あの後猫はどうなったの?」


「近所の人に引き渡したよ。今もその人が飼ってくれてる」


「そうなんだ」


あの後どうなったのか知らなかったから、今知ることができて気持ちがスッキリした。


「あの時西村君がいなかったら、子猫は死んじゃってたかもしれないね」


「そんなことないだろ。加藤が通りかかってきっと助けてくれた」


そう言われるとなんだかくすぐったい。


受験の前だったから、子猫の泣き声を聞いても無視していたかもしれないし。
< 64 / 244 >

この作品をシェア

pagetop