ストーカー
「西村君はあの時、偶然あの道を通ったの?」


「あぁ。実は俺もあの日が受験だったんだ。落ちけど」


そう言って頭をかく西村君。


同じ日に受験だったということは、この高校を受けたのだろう。


「そうだったんだ……」


落ちたのは可愛そうだけど、西村君の人柄の良さは理解しているつもりだった。


「そうだ。メッセージ交換しない?」


西村君がそう言い、黒色のスマホを鞄から取り出した。


メッセージくらいならいっか。


一瞬璃桜の顔が頭をよぎったが、すぐにそう考えた。


西村君はきっといい人だし、メッセージのやりとりくらいなら璃桜も怒らないはずだ。


「いいよ」


あたしはそう言い自分のピンク色のスマホを取り出したのだった。
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