ストーカー
☆☆☆

今日は西村君に再開できて嬉しい日だったのに、視線のせいで気分はまた落ち込んでいた。


家に入ってしっかり施錠をし、自室に戻る。


部屋着に着替えて勉強を始めてみても、あの視線の正体が気になってあまり集中できなかった。


そんなとき、スマホがポンッと音を立てた。


確認してみると、さっそく西村君からのメッセージだ。


文章はなく、スタンプが押されている。


胴体と手足が長い人間が、クネクネと踊っているスタンプだ。


それを見てプッと吹きだした。


沈んでいた気持ちが一気に楽になって行くのを感じる。


《遙:なにそれ? ダンス?》


《西村:いや、なんか元気なさそうに見えたから、このスタンプなら笑うかなって思って》


その文面にあたしはため息を吐き出した。


たった数分会話をしただけなのに、西村君はしっかり見ている。
< 70 / 244 >

この作品をシェア

pagetop